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COVID-19でMPH生活はどのように変わったか

JHSPH留学日記
2020年3月11日ジョンズ・ホプキンス大学は5月までの全ての授業をオンラインに移行することを決定しました。これにより卒業式やその他すべてのイベントがオンラインで行われるようになりました。
そして日本・米国間の移動がさらに制限される懸念があったため、3月下旬に私は日本に帰ってきました。備忘録としてCOVID-19でMPH留学生活がどのように変わったのかまとめてみました。

 

授業はZoomもしくは収録済みのものに

元々公衆衛生大学院の科目にはオンラインで提供される科目が多数あります。これらの科目については大きな変更はありませんでした。通常の対面での授業については、授業時間にリアルタイムで授業がZoom上で配信されます。
Zoomでは小グループに分ける機能などもついており、授業の途中でグループに分かれてディスカッションなんていうことも行われています。普段の授業であれば手を挙げて、質問をするのですが、Zoom上ではチャットボックスに質問を書き込み、TAがそれを拾い上げて教授に伝えるというスタイルをとっている授業が多いです。
今の所大きな問題もなく授業は提供されていますが、対面授業に比べると教室内でのディスカッションは盛り上がりに欠ける印象があります。

 

成績については全ての科目でPass/Failを選択出来るようになり、COVID-19の影響で授業に専念出来ない学生にも一定の配慮が設けられています。
(本来必修科目はLetter Gradeしか選べないようになっています。)
私自身は時差の関係で授業が早朝と深夜にあるのでいつも眠い目をこすりながら授業に参加しています。
オフィスアワーに関しては日本の深夜帯に設定されていることが多く、正直あまり利用できていません。授業前後に教授やTAに質問することが多かったので、オンラインになってからはそういった機会が減ってしまいました。

 

ちなみに授業料の減額は署名活動をしましたが、全く認められませんでした。
大学側も収入源・今後の寄附の見通しが立たないことから資金的に余裕がないようです。
今後外部資金の減少により奨学金プログラムや研究活動は縮小し、大学全体の活動にも大きな影響が出るかもしれません。

 

その他の学校生活

 

MPH留学の魅力といえば同級生との交流なのですが、オンラインに移行してからというものそういった機会はめっきり減りました。(アメリカでは集会が禁止されているので、友達に会うことはできません。)
たまにZoomで雑談をする会やオンラインお誕生日会を開いたりもしているのですが、仲良いメンバーで集まるだけで、新しい出会いはほぼ皆無です。

 

また毎日のように大学で開かれていたセミナー(ランチ付き)もオンラインでは頻度が減っているような気がします。COVID-19関連の勉強会やセミナーはあるのですが、それ以外のテーマでのセミナーは少なくなってしまいました。

 

また大学の図書館などは元々オンラインでサービスが提供されていたため大きな変わりはありません。教授やスタッフとの面談も全てオンラインで済ませられるのは便利なのですが、時間を合わせてミーティングの手配をするという工数がやや面倒くさく感じることもあります。

 

楽しみだった卒業式はオンライン開催となりましたがどのようなものになるのか全く想像がつきません。情勢が落ち着いたタイミングで実際の式を改めて行うことも検討されているようですが、具体的な計画は未だに不透明なままです。

 

就職活動

 

世界中どこも採用縮小や凍結という流れのため卒業生は今後のキャリアが厳しい人もいるようです。公衆衛生大学院はCOVID-19対応のための公的機関やコンサル企業などの求人が回ってくることはありますが、それ以外の情報はあまり聞かなくなりました。Johns Hopkinsも2020年度の採用は基本的に凍結すると名言しており、このタイミングで卒業するのは中々大変だと思います。

 

プライベート

 

3月下旬の時点ではスーパーでは食材不足がみられ、また公共交通機関も一部の人を除いて一般客は使用が制限されているなど日常生活に大きな制約がありました。
またマンションのジムや共用スペースも閉鎖されていました。
失業者が大量に出ることに伴う治安の悪化も個人的には懸念事項だったため、なるべく外出は控えるようにしていました。
運動の機会も激減し、人との会話も減ったため精神的にも大変でした。

 

その後日本に帰ってくると1ヶ月ほどしてからソーシャルディスタンスがスーパーなどで徹底されるようになりましたが、公共交通機関の制限などはなく政策の違いを改めて体感しました。
どの国の政策が優れているかという話題は同級生とも頻繁に話題に上がるのですが、正直こういったことを客観的に評価するには年単位の時間がかかるのではないかと思い、時期尚早な判断を求める社会の流れには疑問を感じています。
(そしてテレビを観るのを止めました)

 

一方でCOVID-19にどのような取組が出来るかという観点で物事を考えるのも重要だと思っています。友人たちが様々な形で貢献していく姿を目の当たりにして、私も出来る範囲で色々な取組に協力できればと思っています。

 

COVID-19で留学生活は思わぬ形で終わりを迎えてしまいました。
この数ヶ月で帰国の判断を含めて全ての事を、上手く判断できたとは全く思わないのですが、色々な意味で成長できた部分もあるのではないかとポジティブにとらえています。
ポストCOVID-19の時代がどうなるか全く予想もつかないですが、公衆衛生に脚光が当たっている瞬間でもあるので、これからどのようにMPHホルダーとして社会に貢献していくかということを改めて考えていきたいと思います。

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