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MPH留学日記 Day 164-182 Second Termの振り返り

JHSPH留学日記

Second Term終了!!

昨日の試験をもってSecond Termが終わりました!
MPHも残すところ3rd Term & 4th Termの4ヶ月となりました。
あっという間に時間は流れ、そろそろ修士論文と卒業後の職探しに着手しないと行けない季節になりました。
周りのMD留学生たちはUSMLEを受けたり、マッチングへの準備を加速させたりと忙しそうにしています。
PhD進学組はひとまず出願を終えてみんなスッキリとした面持ちです。

 

私は今のキャリアのネックが兎にも角にも公衆衛生分野における実務経験不足だと思っているので、日本に帰国ししばらくは実務経験を積みたいと考えています。
その後は国際機関への就職や海外PhDへの進学等も含めて色々と思案中です。

 

振り返り

いくつかの心に残った授業を振り返りたいと思います

 

Communications Primer for the Public Health Sciences(Online)
元演劇が専門の先生がプレゼンテーションの極意を教えてくれた講義。
プレゼンテーションに関する講義は今までも色々な場所で受けてきましたが、この授業が一番良かったです。
デザインやストーリー構成・発声・話し方・メンタル面での準備などについてのレクチャーに加えて、実際に自分でスライドを作り2回の添削を受ける事ができます。
そのフィードバックも詳細でフォントサイズや色使い、画像の選び方、見出しの付け方など勉強になる知識ばかりでした。
最後にはオンラインでプレゼンテーションをし、先生からフィードバックを受け、さらにもう一度プレゼンテーションをします。
このときに、私はNYCにおける砂糖入り清涼飲料水の販売制限政策の話をしたのですが、オープニングの聴衆への問いかけを平凡なものから意外性のあるものに変え、政策というやや親近感に乏しいストーリーに個人感を持たせるべきだというフィードバックを頂き、具体的な改善策を提案してもらいました。
一方で、英語での抑揚の付け方、トーンの使い分け、話すスピードは素晴らしいと褒めてもらえたのは大きな自信に繋がりました。
プロにプレゼンを細かく指導してもらえる機会は大変貴重ですし、おそらく巷でこのクオリティのレクチャーを受けると結構な良いお値段になるような気がします。
講義で用いられた課題図書(Presentation Zen)も非常に良かったです。

 

Epidemiologic Methods 2
疫学の中級クラスです。
DAGの導入から始まり、各研究デザインを学びました。
最も時間を割かれたのはNested case-controlやCase-cohortといったデザインでした。
各研究デザインで問題になりうるバイアスを学び、過去の研究論文を吟味するという構成でした。
教授陣は非常に熱心でしたが、スライドの構成や説明の仕方には大幅な改善の余地があるように感じました。
参考図書はModern Epidemiologyでしたが、スライドの内容が膨大過ぎてほとんどの学生は読んでいませんでしたし、教授陣もスライドの内容でこの講義に関しては十分だと言っていました。

 


Health Behavior Change at the Individual, Household and Community Levels
国際保健のコンテクストの中で行動変容について学ぶ講義で、一つ一つの伝統的な行動科学理論を丁寧に取り上げ、実際の介入試験などと突き合わせながら、様々な手法の長所・短所を学ぶスタイル。
火曜日は重点的に講義が続き、木曜日は3つの小グループに別れてディスカッション中心の授業が行われます。
行動経済学・ミクロ経済学・社会人類学の観点も取り入れられた内容で伝統的な行動科学理論とは違った角度からも人間の行動について学びを深めることが出来ました。
とくに社会人類学の観点から、人間はどのように効果(Efficacy)や病気の成り立ちを理解するかという内容を学んだり、使用言語の違いがもたらす人間同士の意思相通のギャップについて学習出来たりしたのはとても貴重な経験でした。
社会行動科学は公衆衛生の中でも最も下流(フィールドに近い場所)に位置する分野だと思います。
すなわち疫学・生物統計学の知見から導きだされた疾患予防戦略が、医療政策レベルで合意形成され、フィールドで実行される段階で行動科学者が活躍します。
プログラムを実行するの際には(たとえ国内であっても)異文化の中で生きる人々とのコミュニケーションが不可欠になりますし、人々の行動を変えるための知見が必要となります。
公衆衛生のボトルネックである「人間の行動変容の難しさ」の理解は、まずは人間を知ることから始まるということを学びました。

 

Statistical Methods in Public Health II
今学期はRを使いながら回帰分析を基本から学ぶ講義で、線形回帰〜ロジスティック回帰までが今学期の学習範囲でした。
統計解析自体はソフトウェアを用いれば誰でも簡単に出来る昨今ですが、その上でモデルのフィットはどうか、他のより良いモデルを組むことは出来るか、データの解析結果が仮定を満たしているかなどを丁寧に吟味・評価するプロセスを重点的に学びました。個人的にも、今まで自分が如何にこういったポイントに無頓着だったかを反省する学びの多い講義でした。
次の学期ではポワソン回帰から生存分析あたりを学習するようなのでそちらも楽しみです。
冬休みがやってきた!
MPHはこれから1ヶ月間の冬休みに入ります。
海外でフィールドワークを行う人。次の進路に向けた準備をする人。
臨床に束の間戻る人。修士論文のプロジェクトに取り組む人。
それぞれの過ごし方で1ヶ月の冬休みを楽しみます。
私は2週間ほど日本に帰国する予定です。
美味しいごはんを残り半年分食べ溜めてきます。

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