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熱帯の国Day30-33 小さな軌跡

熱帯の国タイ編

かわらないもの

今僕はスワンナプーム国際空港の出発ゲートで熱帯の国最終話となるこの記事をしたためている。この国で学んだことは、「日本と何が違うか」というよりも「日本と変わらないもの」の方が多かった。思い返してみると、はじめのころは、この国独自の「何か」を血眼になって探しては、見つからずに落ち込んでいた。

でもタイの医療は日本の医療と大して変わらない。治療方針や、患者様と医者の関わり方も、病気の苦しさや人が亡くなることの悲しみも。そして僕達が困っているといつも助けてくれた、先生方や医学生、看護師さん、患者様、寮の警備員さんやコンビニのおばちゃん達のあたたかさも。

そういった意味でタイはなんだか安心感のある国だった。

一ヶ月の楽しかった思い出が沢山詰まったこの国を離れるのはなんだか寂しい。それでも、また歩みを進めなければいけないのだ。

ちょっぴり成長した姿で、再びタイの地を踏みしめる日を夢見て、

ขอบคุณครับ!!(ありがとう!!)

と心の中でそっと呟いた。

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熱帯病との出会い

タイで学びたいことの1つに熱帯病診療があった。熱帯病とは熱帯地域特有の感染症を指し日本ではなかなか学ぶ機会がないのだが、毎日数えきれない程の人々が国境を越えて移動する今日において、我が国でも熱帯医学の知識は必須だと感じている。

しかし、タイのような新興国では昔ほど熱帯病は多くない。バンコク近郊では既にマラリアは撲滅しており、マラリア症例の多くは、ミャンマーラオスからの移民や、近隣諸国との国境付近にある山岳地帯のものだという。あるドクターは4年ほど臨床現場にいてもマラリア症例に出会ったことがないと言っていたほど、現在では息を潜めているようだ。そんな中、この滞在中にはマラリアデング熱の症例を勉強させていただく機会に恵まれた。

タイの医学生は、これらの熱帯地域特有の疾患に対して、かなりの知識を持ちあわせており驚かされた。彼らから教わった、これらの疾患の詳細については後日改めて紹介させて頂きたい。

これから描く軌跡

今月の後半からは筆のスピードが失速してしまい、思うように記事を書き続けることが出来なかった。まだまだ皆さんにお見せ出来ていない、書き溜めた下書き達がMacbookの中には眠っている。タイの公衆衛生課題についての記事もあり、まさにトビタテの事後報告にも繋がるような内容だ。これらの記事を順次、加筆修正して皆様にお届けしたい。それがきっと未来への「軌跡」へと続いていくと期待して。

また、来週からはジャズの街編もスタートする。論文執筆や、一般の方向けの記事の執筆と、元来筆不精な僕にとっては不安の残る生活だが、研究をメインに一ヶ月を過ごせるなんて夢のような話である。知的好奇心に忠実でいられる、素敵な日々になる予感だ。

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