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熱帯の国Day8 言葉の壁

熱帯の国タイ編

僕の留学先のタマサート大学は近いうちにInternational Medical Collageというインバウンド型の医学部を開学する予定である。それに伴って医学部の国際化を急ピッチで進めているとのことだ。

しかし、実際はというと医師以外のスタッフと英語でコミュニケーションを取るのは非常に困難で、患者様や御家族から直接お話しを聞くことも出来ない。そしてたとえ医師であっても英語でコミュニケーションをとってくれる人は少なく、正直言って実習に支障が出ている。

もちろん、タイ語が話せない僕が悪いのだろうが、日本と同等のクオリティの医学教育を受けることが出来ていない。現在、僕の病棟では重症患者様が多く、インターンをはじめレジデント達が目がまわりそうな忙しさの中業務をこなしている。そんな状況で英語で日本人学生に教える余裕はないようだ。

こちらから質問しても、患者様の急変や、他のドクターからの問い合わせによって遮られてしまう。

こればっかりは運が悪いだけなのかもしれないが、この状況をどうにか打破出来ないか自分でもかなり思い悩んでいる。

また、最近では海外の学生による医療行為の実施についても制限が厳しくなっているようで、タイの医学教育のウリであるハンズオン型の教育も未だに体感していない。

周りの環境のせいにするのは良くないと分かっていながらも、自分でどうすることもできないこの状況に苛立ちを感じている。焦ることはないが、このままで良いのかという思いがずっと心に引っかかっているのだ。

医師という職業において、「言葉」というものがいかに大きな力をもつのかをこの数日で思い知ることになった。そして、言葉が使えなくなったときの無力さや悔しさも。

一方で、楽しいことも勿論ある。こちらの医学部の友人も出来て、一緒に夕食に行ったり、広大なキャンパスの設備を紹介してもらったりと、病院外での生活は充実している。それが焦る気持ちを抑える癒やしにもなっているような気がするのである。

この大学の豪華過ぎる設備については後日改めて紹介させて頂こう。

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