Post-MPHのキャリア
MPH取得後のキャリアパスについてはネット上でもしばしば話題になります。
公衆衛生大学院ではプロフェッショナルとして必要な知識をしっかりと叩き込まれます。
1年間という貴重な時間と高額な授業料の投資の見返りとして、どんなポジションにつくことができるとのか、どのくらいの給料を貰えるのかといったことに興味を持つのは自然のことです。
私が通っているジョンズホプキンス公衆衛生大学院の卒業生が、MPH取得後にどのようなキャリアを歩んでいるのかを紹介してみたいと思います。
調査資料について
今回の記事はジョンズホプキンス公衆衛生大学院が2016年に公式に行った調査である”JHSPH Career Outcomes Report”を元に執筆しています。
2010年から2015年の卒業生が対象ですので、卒後1-6年経った時点での状況を調べたものになります。
資料はこちらから閲覧可能です。
卒業生の勤務先
卒業生の23%はアメリカ連邦政府機関に就職しているようです。
これにはFDAやCDC、NIHなどの機関が含まれていると考えられます。
続いて多いのは大学に残るパターンです(22%)。私の体感では卒業後も大学院の研究員やプロジェクトコーディネーターとして残り、PhDの取得などを目指す人が多いような印象です。
特にアメリカでの就職を目指す留学生にとっては、いきなりキャンパス外で就職するよりも、OPTと呼ばれる制度を利用して労働許可を取得し、大学院でコネクション作りを行う方がハードルが低いためこのようなキャリアパスを選ぶ人が多いです。
また一定の数がアメリカ人医学生で占められているため、MD/MPHを取得後に医師として医療機関に勤務しているパターンも多く見られます。
医療機関で働いている卒業生はおおよそ16%でした。
その他、NGO/NPO(16%)やコンサルティング業界(11%)に進む卒業生もいます。
(引用元:https://www.jhsph.edu/offices-and-services/career-services/for-students/career-resources/JHSPH%20Career%20Outcomes/JHSPH_Career_Outcomes_Survey_Final_Report.pdf)
気になる年収は?
年間$150,000以上の給料を得ている卒業生は全体の17%で, $100,000以上の卒業生は全体の40%に登りました。
高収入な給料を受け取っているのは、臨床医、製薬会社、コンサルティング会社、大学教員、政府機関のマネージャークラスといった職種のようです。
全米の年間世帯収入の中央値は約$56,000ですが、おおよそ25%の卒業生がこの水準を下回った給与を受け取っています。
ただし卒業後にポスドクやPhDに進学している学生も多くいますので、おそらくそういったキャリアの学生がこの給与レンジに当てはまるのだと思われます。また非営利組織のシンクタンクや国際援助団体なども概して給料は低めに設定されているようです。
MPHのスキルをテコに稼ぐには製薬会社やコンサルティング会社、大学教員、政府機関のマネージャークラスを狙っていくのが良さそうですね。
実際に製薬企業やコンサルティング企業はリクルートにも積極性があります。医師+MPHの生物統計学・疫学専攻であれば製薬企業からのアプローチはそれなりに来ると思います。政府機関や大学教員は道も狭いので前職での経験やコネに依存する分が大きいかもしれません。
(引用元:https://www.jhsph.edu/offices-and-services/career-services/for-students/career-resources/JHSPH%20Career%20Outcomes/JHSPH_Career_Outcomes_Survey_Final_Report.pdf)
MPHを検討するならキャリアパスも考えよう!
特に1年プログラムのMPHは非常に慌ただしく、転職を検討しているのであれば入学前からある程度のイメージを持っておくことが大切になります。受験を検討されている方は各大学のキャリアセンターが出している資料をチェックしてみて下さい!
コメント