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熱帯の国Day17 タイの大学病院における医学教育②

熱帯の国タイ編

昨日に続き本日は卒後医学教育についてお伝えしていきます。

インターンは3年制

タイには21校の医学部(医師養成課程)があり、そのうち19校は公立です。公立医学部出身の医師は最低でも3年間は公立病院に勤務する義務があるそうです。また日本の地域枠のように、地方病院への就労を前提とした奨学金制度もあり、10年は公立病院に勤務する必要があると言っていた学生もいました。

インターンの仕事は言うまでもなく病棟の管理です。医学生たちを指導しながら15人ほどの患者を受け持っていました。朝7時頃から学生達とプレラウンドを行い、8時にはレジデント+チーフレジデントらと共に再びラウンドをします。その後、各専門分野(subspeciality)の指導医達が病棟に来た際に自分の受け持ち患者のコンサルティングなどを依頼し、一緒に回診することもあります。

レジデントは狭き門

レジデンシープログラムは基本的に3年間で構成されていますが、外科では4-5年とされているなど分野によって多少の違いはあるようです。また、インターン1年目を終えた後に直接レジデントに進むプログラムもあるようです。

また医学部卒業生に対してレジデンシープログラムの枠はかなり絞られているそうで、競争が激しいとこちらの医学生たちは語っていました。タイの医学部において人気の診療科は基本的に米国と同様で「ROAD」のようです。

ROADとは、比較的時間的にも経済的にも余裕を持ちやすい診療科の頭文字をとったもので、

Radiology 放射線

Ophthalmology 眼科

Anesthesiology 麻酔科
Dermatology 皮膚科

の4つの診療科を指します。

日本の僕の友人たちの間では、ROADが必ずしも人気なわけではないですが、タイでは憧れの専門分野のようです。

僕がお世話になった病棟では、レジデントはインターンの指導を行い、チーフレジデント(レジデント3年目)は病棟全体の管理(30人程の患者様)を任されていました。3年目の終わりには専門医試験が待ち構えているため、毎日のように専門医試験対策講座が院内で開かれていました。病棟管理と平行して、専門医試験に向けての勉強ろチーフレジデントはかなり忙しそうな様子でした。

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この試験に合格すると、専門医となり、Subspecialityの研修(Fellowship)へと進むようです。

日本と同じで、一人前になるには長い道のりですね。

医師=憧れの職業

医師の人口比は日本の約1/6とタイの医師不足は非常に深刻です。そのため、大学病院であっても労働環境は非常に過酷とならざるおえません。

それにも関わらず、タイでは医師は名誉ある職業とされ、非常に人気がある仕事のようです。

これは、現国王陛下のお父様が医師であり「タイにおける医療の父」と親しまれている影響もあるかもしれません。

タイの医療に貢献したいと願う有能な医学生達が、こういった卒後教育を終了する頃にはどうなっているのか非常に楽しみですね。それと同時に、自分も負けないように修行に励みたいと思います。

ではでは!!

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