この熱帯の国にもようやく雨が降りだした。
時折思い出したかのようにやってくるスコールは、先日まで40℃近くあった気温を32℃程度まで下げてくれる。日本にいると梅雨はいつもジメジメとしていて、なんだか憂鬱な気分になったものだが、この国では僕達が快適に過ごすための恵みの雨なのだ。
そんな雨季の合間に水上マーケットを訪れてみた。
バンコク郊外にはいくつかの水上マーケットが存在する。しかしそれらの多くは、外国人観光客で溢れかえっているという噂もちらほらと耳にする。せっかく異国で休日を過ごすのだから、ちょっとでも地元感のある場所に行きたいというのが自然な気持ちだった。そこで、同じ病棟にいたこちらの医学生に相談してみるとすぐに、「Khlong Lat Mayom Floating Marketが良いんじゃない?」という返事が帰ってきた。そうと聞くと決断は早かった。さっそく天気予報を確認し、雨の降らなそうな土曜日に出かけることにした。
バンコク市内Bang Wa駅からタクシーで15分(75B)程の場所にその水上マーケットは存在する。土日祝のみの営業ではあるが、市場は多くの人で賑わっていた。友人からの前評判通り、外国人の姿はあまり見ない。どちらかというとタイの家族が遊びに来て、食事を楽しんでいるような印象だ。
近隣の水上マーケットに比べると運河に浮かぶボートの数は少なく、幾分か地味に見えるかもしれない。しかし、この落ち着いた雰囲気がかえってローカル感を醸し出し、風情あふれる景色を織りなしているのである。
市場の大部分は陸上なので、市場を探検するだけでは少し物足りない気がする。水辺を楽しむには、やはりボートで運河を巡るのが一番である。クルージングを楽しみたい方には100Bで近隣の寺院を巡る1時間程度のコースが用意されている。この値段も、他の観光地に比べると極めて良心的な価格設定で好感が持てる。
陸上には屋台が所狭しと並んでおり、活気が溢れている。エビや魚の塩焼きといった魚介類から、タイ風焼き鳥ガイヤーンとその種類は豊富である。
中にはおしゃれなひとくちサイズのマカロンまであり、タイ料理に少し飽きてしまった心と舌を休ませてくれる。
雨季の合間の晴れた日には、のんびりと水辺を眺めながら美味しいご飯を食べる。
そんな涼しげな休日の過ごし方が、なんだかひどく贅沢に思えるのだった。
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