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MPH留学日記Day26-35 オピオイドクライシス

JHSPH留学日記
Summer termが始まって4週間が経ち、そろそろ折り返し地点にやってきました。
今とっている授業で中間試験があるのはEpidemiologyだけなのですが、レポート課題や小テストが徐々に増えてきて、負荷が増してきているような印象です。
授業自体は英語に耐性が出てきたせいか、徐々に楽しめる余裕が出てきました。
一方で全部の講義が素晴らしいわけでもないので、的を得ない授業にはイライラしだしてしまうこともあります。
なんせ毎日2万円以上の授業を払っているのでコチラも真剣そのものです。

オピオイドクライシス

アメリカの公衆衛生のホットトピックといえば生活習慣病を思い描いていたのですが、こちらに来てみると連日の講義でオピオイド乱用が取り上げられています。
2010年以降オピオイドの過剰服用で死亡するケースが急激に増加しており社会問題となっています。
2015年には5万人以上がオピオイドで死亡しており、不適切な静脈注射によるC型肝炎やHIV感染も問題視されています。
ホプキンスでは入学後に全員がオピオイドに関する授業を受講します。
また緊急時のナロキソン使用方法についてのワークショップも開催されており、日本でいう心肺蘇生講習のような位置づけでナロキソン講習が非医療者にも提供されています。
薬物乱用者に対する支援にも力を入れており
スティグマを引き起こすような単語は使わないように指導されましたし、薬物乱用者に必要なのは刑罰ではなく適切な治療であるとの考えから非刑罰化するような議論まで盛んに行われています。
また薬物乱用者が適切な治療に進むための入り口として、安全に薬物が使用出来る施設(Safe Consumption Site)も徐々に増加しています。
具体的には
  • 医学的監視下での薬物使用
  • 適切な注射手技の指導
  • ナロキソンの提供
  • 社会福祉サービスの提供
  • カウンセリング
  • 薬物依存治療への紹介
といったサービスを受けることが出来ます。
もちろんこれに対しては違法行為を助長しているなどの批判もあるのですが、実際に過剰投与による死亡を防ぐことに成功しており、薬物依存治療への橋渡しとして機能しているとのことでした。
日本では薬物依存が公衆衛生上の課題として取り上げられることがあまりなかったので、非常に新鮮でした。

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