スポンサーリンク

産業医になるための関門

ブログ

現在、医師向け転職エージェント3社にお世話になりキャリアサポートを頂いています。
2020年6月に帰国予定のため、7月もしくは8月頃に入職出来るよう留学前から戦略を立てているところです。
渡米も近づいてきたためそれぞれのエージェントさん達をお会いし、だいたい同じようなお話を伺えたのでまとめてみたいと思います。

 

<求められる人物像と私>

企業が積極的に採用したい人材像としては
①産業医大出身(もしくは経験者)
②30歳以上
③臨床専門医
④女性
⑤精神科経験
というファクターが挙げられるようです。

 

企業はメンタルヘルスや、社内でのセクシャルハラスメントやパワーハラスメントへの対応を産業医に期待している面もあるようで、女性で精神対応できる医師が重宝されるようです。
臨床専門医資格が求められることに関してはハッキリと申し上げて、ただのミーハーだと思います。
臨床での専門性を産業医業務に還元してほしいと企業は思っているようですが、実際どの技術をどのように生かしてほしいのか説明できる企業はほとんどないと思われます。
実際に病院での業務内容と、企業での業務内容が乖離していることを理解しておらず、「なんとなく専門家だから任せられるでしょう」という温度感を感じます。
もちろんあらゆる経験が還元できるのが産業医の魅力だとは思いますが、専門医資格があるからといって産業医としてのパフォーマンスが著しく向上するとは考えにくいでしょう。
30代以上というのも、社内でのポジショニングという意味合いでの条件だと思います。
いずれにせよあまり合理的な条件だとは思えませんが、企業のニーズがそこにあるのであれば仕方ありません。

 

これらの条件に合わせて私自身を見ると
①非産業医大出身(産業医未経験)
②20代
③専門医資格なし
④男性
⑤非精神科医
と見事に全てのカテゴリで外しており、
市場価値として大変厳しい状況にあることが伺えます。

 



<エグジットプランはあるか?>

まずは産業医としての寿命が短いことを認識するべきだとエージェントには言われています。
臨床医の場合は65歳で定年退職を迎えたとしても、臨床スキルを生かして地域の診療所や検診、老健、慢性期病院、訪問診療などをゆるく継続することが可能です。
一方で純粋な産業医の場合は企業の定年にあわせて退職となり、嘱託産業医として働くか、一部のゆったりとした臨床業務をやることになりますが、いずれも下の世代の医師が好まれる可能性が高く高齢での就職が困難になる可能性が高いとのことです。

 

また勤務医の方が収入も良い(長時間労働なのだから当然)ため、生涯賃金は下がることが一般的なようです。

 

<それでも産業医になりたい>

ここまで逆風が吹き荒れてもやっぱりフルタイムの臨床医にもどる気にはなれませんでした。
臨床での生活は充実してましたし、外来や訪問診療で様々な人の人生に関われるプロセスはとてもやりがいもありました。
しかし医療を必要とする人は増え続け、求められる水準は上がり続けるばかりで、まるで穴の空いたバケツに水を注ぎ続けるような虚しさがいつも心の中にはありました。
バケツの穴を閉じるには疾患の予防にコミットする必要があると考えました。
また同時に医療現場の過酷な環境の中で、複数の友人が体調不良となり、休職や転職を余儀なくされた経験から、労働環境の改善と生産的な働き方を医学的な立場から支えることに関心を持ちました。
こういった思いを持って仕事をする第一歩として、まずは専属産業医としての職を探したいと思っています。
というわけで逆風に打ち勝つべく落ち着いて戦略を立てる必要があります。




 

<どう自身をブランディングするか>

①出身大学と経験の有無
これはもう変えようがないのでスルーです笑
②年齢
これに関しても変えることは出来ないのですがフレーミングは変えられそうです。
一般的に企業の産業医はベテランで男性の先生が多く、若手社員や女性社員には相談しにくい雰囲気もあるようです。
自分は幸いにも人とコミュニケーションを取るのが得意で、患者さんからも「話しやすい」と言っていただくことが多いです。
そのため若手で「気軽に相談できる産業医」というポジショニングを狙って、企業が目指す女性や若手社員のケアというニーズを満たせるようにブランディングしようと思います。
ただし、この長所を直接的に感じ取ってもらうには書類選考をパスして面接に読んでもらえなければなりません。
レジュメ作りが肝となりそうです。
③専門性
私の場合は専門医研修を受けずMPH留学するため、臨床における専門性は他の先生方に勝ちようがありません。
またエージェントもMPHの専門性が理解できておらず、そこから推測するに、採用サイドもMPHホルダーについての知識がほぼ無いと思われます。
採用プロセスでは統括産業医の先生だけでなく、人事部や役員クラスの意見が尊重されることを考えるとMPHホルダーの専門性を、内科医や外科医と同じように公衆衛生という専門がある、といった基本的なところから丁寧に説明し、売り込む必要があると思われます。

 

また研修医時代から臨床医としての立場で産業衛生に関するケースも経験していますので、必要に応じてそれらのエピソードを会話に挟めるように整理しておく必要があるでしょう。

 

また基本的な臨床能力がアピール出来る数字や、経験についてもまとめておくべきでしょう。

 

④性別
これは変えられないので仕方ありません。

 

⑤精神科経験
これも企業としては精神科医を求めているようですが、病院での精神科医と産業医として求められるメンタルヘルスは似て非なるものなので、別の専門性が求められます。
その点では精神科医を目指すというよりかは、企業向けのメンタルヘルス系資格を取得する方が自分にあっていると思いました。
もちろん資格を取得したからといって実力が大きく伸びるわけではありません。

 

それでもまずは知識をつけること自体に意味があると思いますし、書類選考を通過するための履歴書をfancyにする作業の一環とも捉えています。


 

⑥+α
さらに売り込む要因としては英語対応可能な点かと思います。
現在は日系企業であっても外国籍の従業員を多く抱えていますし、また海外駐在員をもつ企業も多いため英語で業務遂行が可能であるというのは大きな強みになりうると思います。
今後MPH中においてもインターンなどの機会を利用して、英語圏でのビジネスシーンに慣れるように努めたいと思います。

 

<自分自身をマーケティングする>

産業医転職市場最弱者の私ですので、いい企業に入り込むにはそれなりの戦略が必要そうです。
まずは企業のニーズを正確に把握し(エージェントさんいつもありがとうございます。)、それに寄せながら自分の見せ方を考えたり、レジュメを整えたりする必要がありそうです。
今からだと1年以上準備期間があるので粛々とすすめていきたいと思います。
(とかいってMPH留学中に他にやりたい仕事が見つかるかもしれないですけどね笑)

コメント