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なぜMPHの学位を選択したか。

MPH留学準備編




MPH 2020-2021を目指される方もそろそろ受験準備に取りかかられる頃だと思います。
様々な学位がある中でMPHを選択した理由について書いてみたいと思います。
私の学術的な関心領域と実務での立ち位置についてはこちらをご参照下さい。

このブログについて
Nudge for Healthは行動科学やナッジの観点から多くの人が健康になれる社会を目指すウェブメディアです。行動科学の知見や実社会での応用例をキュレーションしてお届けしています。その他、管理人の留学日記やキャリアに関する話題も豊富です。

 

<修士課程留学 vs 博士課程留学>

これについては私は前者しか選択肢にありませんでした。
欧米圏での博士課程は非常にハードルが高いです。
研究歴も浅く、ましてや臨床医学→行動科学という分野横断をするにはそれなりの準備期間が必要と考えました。
実務家に還元されるような研究活動をしたいということを考えて、今後10年のキャリアプランを見つめたときに、まずは実務経験を着実に積むということが最優先でした。

 

  • 将来的に安定して研究・実践活動に取り組むための経済面・スキル面での基盤作り。
  • 実務経験を通じた問題意識(Research Question)の削りだし。
  • 研究に必要なフィールド開拓を含めたコネクション形成。
  • 博士課程出願時にアピール材料となるような小規模な研究活動

 

これらを考慮し、修士課程への進学で基礎を身に付け、実務活動を行うことが最善であると思い至りました。
将来的には博士課程への進学も考慮したいと思いますが、理論研究者志望でもなければアカデミアでのポジションを狙っているわけでもないので(経済的な自由があれば大学教員は窮屈かもしれませんし。)、MD/MPHの肩書だけで十分かもしれません。
実際に欧米圏ではMD/MPHはある種の完成形(Terminal Degree)とみなされる事が多く、PhDは必ずしも研究者としての必須要件ではなさそうです。
ただし分野を変えてガチな研究者を目指すとなると、PhD取得は必要になってくるでしょう。
いずれにせよ、今すぐの意思決定は必要ありません。

 

<どの修士課程に進学するか>

行動科学の医療分野への応用に取り組むために検討したのが以下の学位です。

 

①Master of Applied Economics (応用経済学修士)
②MBA (経営学修士)
③MPH (公衆衛生学修士)

 

①は応用経済学分野での修士課程でした。
某大学に素晴らしい研究室があり、人間の食事行動について大変おもしろい研究をしていたのですが、お目当ての教授が論文不正で辞職したため候補からはずれました。


また学位が日本ではマイナーゆえに、将来的な就職にも有利になりにくいと判断しました。

 

②経営学修士課程は一般的に2年であることが多く、留学費用も2000万円近くかかります。
このコストが非常にネックとなり除外しました。
内容としては組織行動学や行動経済学、マーケティング理論などを幅広く学べて魅力的でした。
企業就職にあたってMBAは印籠的な面もあり、プラスにはたらく可能性が高いでしょう。お金と時間があれば選んでいた道かもしれません。
特に投資銀行やコンサルへの転職を目指される方には勧められるでしょう。
またトップスクールは競争率が非常に高く、入学のための準備時間+費用も半端ではありません。

 

③公衆衛生学修士課程は1年コースを持つ大学が多く、費用もおよそ1000万円程度でした。
行動経済学分野の医療応用に関する講義もある上に、選択科目として経営大学院で前述のマーケティング等についても学ぶ事が出来るため自分には都合が良いと感じました。
また以前こちらの記事でも書きましたが、行動科学の医療応用でのトレンドはこまめなPDCAサイクルを回すことです。
そのためには実現可能なレベルで”ミニ臨床研究”を計画し、介入の効果を適切に評価する必要があります。
そのためには生物統計学や臨床研究デザインについての知識が必要不可欠です。
MPHなら、これらの必要スキルをいいとこどりしながら学習を進めることができると判断しました。
また医療業界では比較的浸透している学位のため、将来的に国際機関や企業への就職を考慮した際にもある程度有利になると考えました。

 

<まとめ>

医師の海外学位留学というとMPH(公衆衛生学修士)が圧倒的に多いと思いますが、他にも様々な可能性があります。
ぜひMBAやその他の学位についても情報収集し、ベストな意思決定をして頂ければと思います。


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