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熱帯の国Day21 ERにて

熱帯の国タイ編

病棟はついにERへ!!

これから2週間はER(救急救命センター)で臨床実習をさせて頂いています。こちらのERは非常に広く、最重症の処置室には4床、軽症~重症の観察室には最大で30床ほどが並べられるように設計されています。患者様の数が多い時には、観察室の外の待合室にまでベッドを並べることもあるようです。待合室の前は救急車両及び、患者様の運搬車両専用のロータリーとなっており、救急救命センターに直接アクセスすることが可能となっています。

さらに、入り口にはトリアージカウンターが用意されており、すぐに看護師によるトリアージを受け、赤・黄・緑+オレンジの4段階の重症度に分類されます。オレンジは外傷のケースが該当するのですが、日本では見たことのない分類だったのでタイ独自のものかもしれません。こうした徹底したトリアージにより、大量の患者が押し寄せても緊急性の高い症例を優先的に治療できるように工夫されていました。

医師・看護師・医学生といった全ての人員は、8時間毎の完全シフト制となっています。今日は8:00-16:00のmorning shiftでしたが、明日は16:00-24:00のevening shiftに参加させていただく予定です。night shift(24:00-8:00)も含めて、2週間の実習のうちに全ての時間帯を見させていただいて、患者層や疾患構造の変化などを見ていけたらと考えています。

 

災害訓練に遭遇!!

本日はなんと災害訓練の日だったようで、ERのスタッフがシフトに関係なく勢揃いしていました。内容はタイ語が理解できないために分からない部分があったのですが、大量の傷病者が搬送されて来て、それらの患者をトリアージした上で定められた場所に誘導する、という流れでした。実際にやってみると指揮者が不在で、傷病者の数が適切に管理されていなかったりと問題点は多々ありましたが、こういった訓練を繰り返すことで少しずつ改善していくものだと思われます。

指導医の先生からは繰り返し、

「日本はきっとこういう訓練をしっかりしているんでしょ?!私達に是非意見を言ってほしい!」

と仰っていました。

やはり日本は災害の多い国ということが認識されており、こういったノウハウについても十分に蓄えていると期待されています。確かに、多くの地震を経験した我が国では緊急時を想定した訓練はよく行われていますし、災害医療センター等を中心にノウハウも蓄積されていることだと思います。こういった知識は国際的にも利用価値が高く、共有するに値するものだということが今日の訓練で自分が感じたことでした。医療水準も比較近いタイのような国に対しては、こういったノウハウの移植もさほど難しくはないはずです。こういった知の共有をフラットに進めていくことが今後の国際保健のあり方ではないでしょうか。

ちょっぴりのプッシュ=強力な推進力

やはり新しい病棟に移ってくると毎度問題になるのは、スタッフたちに放置されてしまって何もやることがなくなってしまう現象。これには留学当初から随分悩まされていました。

しかし、今まではそれぞれでキーパーソンとなる方に恵まれてどうにか充実した臨床実習を送ることができていました。

 

しかし、ERでは少し事情が違います。というのも完全3交代制のため、毎日来る度に上級医も変わってしまいます。そのため、キーパーソンを頼るというのはなかなか難しいのです。

今日も午前中は、先生方も学生たちも忙しく走り回り、声をかけることも出来ず、ナースステーションでただただボーっと過ごしていました。午後になると先生方も少しずつ余裕が出てきたようで、声をかけて下さるようになりましたが、なかなか症例を理解できるほどの説明を受けることは出来ませんでした。

そこで思い出したのが、前回のブログに対して頂いた先輩からの「軽く押せば、意外と出来ることも増えるよ」というコメントでした。

ということで、先生や医学生が少しでも暇そうな顔をした瞬間に、すかさず「あの患者さんはどういう状況なんですか?」と聞きまくるということにしました。ERの医師や医学生達は幸いにも英語が堪能な方々が多く、質問に丁寧に答えてくれます。これを繰り返すことで、病棟の患者様の病態を少しずつ把握出来るようになりました。

また、やりたいことをハッキリと伝えておくことも大切かと思います。「〇〇という手技を経験したい。」「身体所見をとるときには必ず一緒に取らせてほしい」「〇〇系の疾患に興味があるので詳しく説明してほしい」等ということを、うっとしくない程度にキッチリと訴えていこうと思います。

もちろん全ての要望が叶うことはないと思いますが、こちらの希望をハッキリと伝えることで相手も僕を扱いやすくなると思いますので、こういったコミュニケーションを積み上げることが重要ではないでしょうか。

この病棟で学べることを自分自身が原動力となって少しずつ広げていければと思っています。

明日はevening shiftで夕方からの出勤なので、朝は他のカンファレンスに参加させていただくつもりです。ではでは!!

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